剣道で何回負けても私が竹刀を握り続ける理由

2025年8月某日、剣道の試合に出場しました。

過去に2位になったこともある、僕にとってはいつも優勝を狙う特別な大会です。社会人の市民戦の中でも比較的和やかな雰囲気で、年代別に分かれているため、皆が純粋に試合を楽しんでいます。

何より、個人戦である点がこの大会の大きな魅力。団体戦の「チームの足を引っ張ったらどうしよう」というプレッシャーを感じやすい僕にとって、個人戦は自分自身の実力を試す最高の舞台なんですよね。

年々レベルが上がっているのは分かっていましたが、まさか自分が予選リーグ敗退という情けない結果になるとは、想像もしていませんでした。

「やはりセンスも才能もないのか」と感じた悔しさ

今回の負けは、信じられないほど悔しかった。

試合後、頭が真っ白になるほどではありませんでしたが、ぼんやりと虚無感に襲われました。「この相手なら勝てる」と思っていた相手に一本取られて負けてしまったからです。もちろん、相手も一生懸命稽古している。僕の実力不足に他なりません。

悔しかったのには理由があります。ここ3年間、仕事の合間を縫って剣道に「ガチ」で取り組んできました。

・試合の話が来たら全てエントリー
・勇気を出して実業団の稽古に混ぜてもらう
・空き時間には自分の試合やライバル選手の動画を研究

弱小・中堅校出身で、中学から剣道を始めた僕が、大人になってからどこまで強豪校の選手に立ち向かえるか? そんな「実験バラエティ」を4年間続けてきたつもりです。

それなのに今回負けてしまったことで、「これだけ頑張っても、結局、センスも才能もない人間はここまでなのか」と大きな落胆が胸に押し寄せました。

試合で負けた時や圧倒的な強者を前にした時、いつも自分の境遇を考えてしまいます。

「もしも小学校から始めていたら」「もしもあの時、強豪校に進学していたら」。

今更考えても意味がないと分かっています。それでも、どうしても考えてしまうのです。

その時、一瞬「剣道やめようかな?別のスポーツにしようかな?」という言葉が頭をよぎりました。

挫折を救ってくれた、強豪選手からの言葉

そんな落胆している僕に、一際大きな声で話しかけてくれた人がいました。

「ひらそさん、えぇ!?負けちゃったんですか!?」

その声の主は、リアルジャイアンのような体躯を持つ、A氏。この大会の優勝をいつも独占している体育大学出身の超強豪選手です。

1年間、様々な出稽古に参加する中で、2度ほど稽古をさせてもらったことがありました。無駄な動きが一切なく、半端ではない「圧」を感じさせる剣風は、30代の僕にとって憧れの存在です。

僕は率直にA氏に尋ねました。
「僕の試合、見てくれてましたか?何か気になるところありましたか?」

すると、A氏からは想像をはるかに超える、濃密なフィードバックが返ってきたのです。

私は、30回の稽古よりも、1回の試合の方が実力アップに繋がると僕は思っています。それは、本番で本気でぶつかり合うからこそ、自分の実力が最大限に引き出されるからです。そして、その本気で戦った試合に対する一流選手からのフィードバックは、何物にも代えがたい価値がありました。

去り際に「Aさん、ありがとうございます!」と言う僕に、A氏はグッと親指を立てながら、決勝トーナメントへ向かっていきました。その姿は、僕の目にめちゃくちゃ輝いて見えました。

だから、僕はまだ剣道を辞めない

結論、まだまだ剣道は辞めません。

冒頭で軽く「辞めようかな」と書いたのは、一瞬ですが本当にそう思ったからです。

ですが、剣道の本当の良さは、勝ち負けだけで測れるものではないと、改めて考えさせられました。心身の健康はもちろん、今回のA氏のように、人との繋がりを実感させてくれるところが、剣道の素晴らしいところです。

今年の6月に稽古させてもらったASKAさん、そして今回のA氏、毎週の稽古でお世話になっている方々。たくさんの人との出会いがあるからこそ、僕は剣道を辞められない。

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もちろん、自分自身の成長と向き合いながら、これからも飽きずに試合に出続けて、結果を残していきたいと思っています。

来年こそは、絶対に優勝しまっせ。

ではでは。

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